同居の始まり

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「はい。熱いから気をつけて。」 「ありがとうございます。」 あの淡い気持ちを抱かせた”年下の男の子”は、いつの間にかボヤけていく。 「仕事、今、何担当してるの?」 「担当、ですか?」 女の勘というのはこういう場面でも働くのでしょうか。 麻奈は目を閉じて、天井を仰いだ。 「坂下君、どこの出版社の専属なの?」 勇平は下を向きながら固まり、そのまま動かなくなった。 「坂下君。専属のカメラマンって、嘘でしょう。」 そして麻奈から、遠ざかる勇平。 「専属にしてもらう為にNYで写真撮って売り込もう としてたんでしょう。」 勇平は、更に遠ざかる。 「あ、あの……」 「何?」 麻奈の淡い気持ちはすっかり消え、再び先輩・後輩の仲に戻ってしまった。 「なんで 分かったんですか?」 「だって、そう言う人。沢山見てるもん。」 仕事も決まっていないのに、勢いでNYに来る人は、案外結構いる。
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