第十一章 決戦は土曜日

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一、龍の巣へ  翌日。  ついに決戦の日。  俺達、合氣道『妙心館』と龍海中『柔道部』との交流稽古の日がやって来た。  午後の二時。  俺たちは稽古着に着替えて龍海中の武道館に居た。  みんなは畳の上に正座している。  顧問の鮫嶋と師範代の宏治郎さんの挨拶が終わり、お互いの代表的な技の説明をする。  その後、それぞれ演武や組手形式での型の披露があった。  そしていよいよ本当の『交流稽古』が行われることに……。 「直人~」 「――!?」  聞き覚えのある声に俺は振り返った。  美沙ちゃん……。 「何、勝手に来てんだよ」 「だってぇ~、直人ががんばってるとこ見てみたかったんだもん」  だってぇ~って。がんばったって俺が勝てる見込みがあるわけじゃないんだぞ。  こっちは美沙ちゃんにカッコ悪いとこ見せることになるかもしんないから黙ってたのに、誰が教えたんだよ。 「初音……いや美沙子さん。よくいらした」 「はい、虎蔵せんせーご連絡頂いてありがとうございますー。もーこの子ったらなんにも言わないものですからー。あ、そうだ、これぇクッキー焼いてきたんですけどぉ。後で召し上がってくださーい」   
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