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な、虎蔵じいさん、だったのか 。それにしてもいつのまに電話なんかする仲に……あ、そっか、入門する時保護者の連絡先書いたから、それで……。
「オ、オオ、これは気を使わせてしもうて」
虎蔵じいさんは美沙ちゃんから照れながらクッキーの入ったピンクの包みを受け取った。
「な、直人君、綺麗なお姉さんだね」
宏治郎さんがわざわざ俺の側に来て話し掛けて来た。
「いやだなあ、もう。母ですよ」
「え? お母さん? いやあ、あまりにお若いので」
「もう、お上手なんだからっ!」
《バシッ》
「イテッ!」
喜んだ美沙ちゃんに背中をはたかれた宏治郎さんが悲鳴をあげた。
「いや、お世辞じゃありませんよ。本当にお若いから」
「えー、そうですかー。もー本気にしちゃいますよー」
営業トーク全開の美沙ちゃんは、薄いピンクの身体のラインを強調した半袖の綿ニットに、膝上の白いミニスカートをファッション雑誌のモデルみたいに着こなしている。
美沙ちゃんにしては地味にしてきたつもりなんだろうけど、とても『お母さん』て感じじゃないよな。
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