第1話『好きなんだけど』

2/3
前へ
/3ページ
次へ
私は関取関取、言われながらも、そこそこ男子とは仲良くできていた。それなりに成績が良かったので、勉強の質問にのったり。オタクな男子たちと、オタクトークをしていたのだ。 それは、とても楽しいものだった。 その日までは。 「タカシくんって、サトコちゃんのこと好きなの?」 という女子の声が聞こえてきた。ピョンピョン飛び跳ねながら、キラキラ女子が聞いている姿が浮かぶ。 サトコちゃんというのは、もちろん私の事だ。 それで、タカシくんというのは、私とオタクトークをしてくれる、イケメンの男の子だった。 私は、いつも彼と楽しく話していたから、少し好きになっていたかも知れない。すこしプラスのことを言ってくれると期待していた。 「いや、そんなんじゃないよ?」 と、タカシくんがサラッといった。 のおおおおおぉぉぉぉぉぉ。私は聞いてはいけない言葉を聞いてしまった。 「ああ、ふとっちょだもんね」とキラキラ女子が言う。 「まぁ、少しな」とタカシくんも否定はしなかった。 私の心はポッキリ折れた。 この、暗黒の終業式から、さらに私の漆黒の夏休みが始まった。 ろくに外に出ず、ごはんもあまり食べないという。 夏休みが。 しかし、とくに苦痛ではなかった。 空腹はいずれ心地よい辛さに変わっていくのだ。 そして、夏休みが開けた。 登校前に私は美容院だけ行っておくことにした。 気分を切り替えるために、バッサリ切ってもらったのだ。     
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加