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突発小話眉唾ばかし
「こちらでございます」
案内をしてくれた従業員に軽く頭を下げて礼を言う。
ごゆっくり、と深く頭を下げて従業員はここまで来た道を戻っていった。
後輩である小野寺との待ち合わせに指定したこのお店は都内にある個室居酒屋だ。
元はカラオケ店であったものを改装したもので、店内にはやや抑え目で有線放送が流されている。
約束の時間より10分ほど遅れて到着した私は小野寺の居る個室のドアを三度ノックし、少し間を空けてからドア開いた。
「お疲れ様です、東沢先輩」
部屋には設置されているソファーに座ったまま、スマートフォンを片手に持ちながら軽く会釈する小野寺の姿があった。
「いやー、すまんすまん!まさか人身事故で電車が遅れるなんて思ってみなかったよ」
「運が悪かったですね、でもすぐ動いてよかったじゃないですか」
私は荷物を置き、ドリンクメニューを手を伸ばしながらお冷のコップ以外乗っていないテーブルを見た。
「先に適当に食べててもよかったのに」
「いやいや、そういうわけには・・・とりあえず生中でいいですか?」
「いや、梅酒ソーダ割で頼む」
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