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惹かれてた。
「今日から生産管理部・生産管理室に異動になりました、桐谷です。よろしくお願いします!」
2年前、お前が異動してきた時は、またお荷物が増えたなーぐらいにしか思っていなかった。
だけど、
「主任、お疲れ様です。今大丈夫でしょうか?」
「あぁ、どうした?」
お前は積極的に仕事を覚えようとしていた。
社内の業務改善内容を発表する大会の発表者に、俺はお前を推薦した。
お前はかなり動揺していたが、俺は精一杯サポートするつもりだったしお前なら絶対やれると思った。
お前は俺の期待以上に練習に取り組んで、俺たちのチームは全社大会に進出した。
海外の子会社も集まるグローバルな大会だ。
普段ではお目に掛かることもない会社のお偉いさんがうようよ座っている。
そんな中で、お前はすごい緊張しながらも、
大学で専攻していた英語と練習の成果を本番で活かして、最優秀賞に部を導いてくれた。
事務部門で初めての快挙だったもんだから、
チームリーダーだった俺は社長や役員、部長から称賛され、誇らしかった。
お前は大会後に、
『今回の賞は主任のおかげで獲れたものだと思っています。本当にありがとうございました。』
なんて、可愛いことを送ってきやがった。
それから何回か仕事後に食事に行った。
仕事の悩みを聞いてやろうと思って。
だけどそれはただの言い訳。
職権乱用もいいとこだ。
本当はお前のこともっと知りたかった。
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