第十一章 決戦は土曜日(続き)

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十、虎の咆哮(ほうこう) 「それでは鮫嶋さん。私達はこれで」 「嘘だ……我が柔道部が、他武道の、それも白帯や女子なんかに負けるはずが……」  よっぽどショックだったのか、鮫嶋はうわ言のように同じ言葉を繰り返していた。 「鮫嶋さん?」  魂を抜かれたみたいになった鮫嶋は、宏治郎さんの言葉も聞こえていないみたいだ。 「……それじゃあ、みんな行きましょうか」  そのまま鮫嶋の横を通り過ぎようとした時。 「ちょっと待ってください!」  鮫嶋は急に正気に帰ったように大きな声で、俺達を呼び止めた。  振り返る俺達。 「上杉先生っ!」 「なんじゃな?」 「愛氣さんを我が校に転入させて是非柔道部に!」  な、いきなり、なに言い出すんだよ! 口ひげの顧問。 「ほう。愛氣が柔道部のう」 「ハイ、是非。愛氣さんの実力なら全国制覇も夢ではないかと」  確かに愛氣ならやれるかもしれない。 「無理じゃよ」 「え?」 「愛氣は柔道では、そうそう簡単には勝てんよ」 「な、何をおっしゃってるんですか。愛氣さんのあの強さ。まさしく柔良く剛を制すもの」 「確かに、お主の言う通りじゃ」 「それなら……」
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