第十一章 決戦は土曜日(続き)

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「あの顧問、おじいちゃんをちょっと怒らせちゃったかもよ」 「それでは、まずは試合に出なかった三年から」 「全員で来なさい」 「え? 全員ってウチは一年から三年まで二五人。行長を送って行った二人を除いてもまだ……」 「何人でも同じじゃ」  言うと虎蔵じいさんは歩いて行って畳の中央に立った。 「ほう、伝説の二十人掛けですか。ですが、ウチは半分以上が黒帯で全国レベルの奴らばかりですよ。いくら上杉先生でも昔と今では――」 「三分じゃ」 「え?」 「三分でワシに一回でも受け身を取らせたら、今日の勝負お主らの勝ちでも良いぞ」 「ほう。お年の割りにたいした自信ですね」 「フンッ。最初からワシを引きずりだすことを狙っておったクセに」 「これはこれはお見通しでしたか」 「父さん。無理しないでください」 「ホントにいいんですか? ご子息も心配しておられるようですが」 「早く囲ませぇっ!」 「ウッ……いいでしょう。それなら、こちらも全力で行かせてもらいますよ」  鮫嶋がサッ! と手を上げると、距離をおいて虎蔵じいさんの周りを柔道部の奴らが取り囲んだ。 「大丈夫かな? いくら虎蔵先生でも」 「おじいちゃんならきっと大丈夫よ」
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