告白

2/7
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
『好きだ』 春斗に引き寄せられた時、耳元で言われたその言葉が頭から離れない。 「何なのよ、もう・・・」 結局、あの時は気が動転して、春斗の身体から無理矢理離れ、逃げるようにして帰ってしまった。 春斗と仲良くなった、文化祭の準備の時。 痴漢にあって、助けてくれた春斗の事は王子様にも見えた。 正直、春斗の事は気にならない訳でもなかった。 仲良くなり、日々過ごす上で、少しずつ好きと言う感情が芽生えない訳でもなかった。 だが皐月を見ているうちに、その感情を抑え込むようになっていた。 顔が熱い。 「はーぁ」 思わず、重いため息がひとつ出たときだった。 ピコン♪ 「ん?」 スマホを見ると、皐月からのLINEだった。 【今度の土曜日、浴衣を買いに行こうよ】 なんというタイミング。 「さっちゃん・・・」 気まずい。 そう思いはしたが、【うん!もちろん!】と返信してしまった。 「私は・・・春斗の事、好き・・・だけど」 皐月はきっと、もっと春斗の事を好きなんだろう。 そんな事を考えると、その感情すら酷いものの様に思えてしまうのだった。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!