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ポツリ、と言われて、そのセリフに吐血しそうなほど萌えた。
「ででで電気!あ、そうだそうだっ」
死ぬほど緊張していたものだから、声が裏返った。
今から寝るってのに、そりゃ明るいまま狭いベッドで向かい合ってるのは変だよね!?
慌てて電気のリモコンに手を伸ばそうとしたのだが、リモコンの場所が、佐野さんの向こうにある。
佐野さんは壁側に寄ってくれているのだが、その壁側は出窓のようになっていて、出窓の部分に目覚ましやリモコンやらを置いていたのだ。
だから咄嗟に手を伸ばしたものの、すると否が応でも佐野さんの上に伸し掛かるような体制になって……。
「っ」
「ご、ごめん」
一瞬びっくりしたように固まった佐野さんに、違うのリモコン取ろうとしてるのと仕草でアピールしつつ、そろそろと手を伸ばした。
佐野さんは俺の手の行方を横目で確認して、理解したところで、やっと体の力を抜いていた。
あー。
リモコン取る行動1つでビクビクされてちゃ、佐野さんの口でご奉仕してもらうなんて100万年早いわ俺。
茫然としながら手に取ったリモコンをピッと操作し、電気を消した。
「大和くん、明るいまま寝るタイプだった?」
「ううん、消して寝ます……」
「よかった、一緒で」
突然真っ暗にしたもんだから目が慣れなくて、佐野さんの表情が見えない。
気配だけでクス、と笑ったのがわかって、視界が消えた分他の感覚が研ぎ澄まされる。
今、足もぞもぞしてるとか、枕に乗せる頭の位置調整してるとか、ふ、と吐く息とか、触れてはいないが伝わる体温とか。
……ってことは、だよ。
佐野さんの方にも、俺のあらゆる情報が伝わっているってこと?
変なニオイしない?
ドキドキしてる鼓動伝わってない?
俺、鼻息荒くない?
こんなもの寝れるわけあるかっ。
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