或る弱い男の回顧録

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或る弱い男の回顧録

拝啓    誰かに手紙を書くというのは初めてなので、どういったことを書けばいいのかわかりませんとお伝えしたところ、どんな内容でもいいと仰っていただけたので、回顧録というわけではありませんが、少し自分のことを振り返ってみて、それを手紙として送らせていただきたいと思います。  私はいわゆる普通の一般家庭に生まれ、いたって普通に成長しました。変化があったのは、小学校に進んだ時です。  私は祖父母の影響で本をよく読んでおり、それを趣味としておりました。私は出不精な子供だったので、本を読みながらファンタジー物に出てくる架空の国に思いをはせたりするのが好きでした。  今にして考えれば、そうしてフィクションの中の理想像に浸っていた私も悪かったのかもしれません。     
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