通行証

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寝室もひどく荒らされた様子だった。 緋紗の私物も仕事の書類も関係なしに、部屋中に散らばっている。 そして部屋の中央では黒髪の少年がベッド横の引き出しの中を物色している。 お仕着せの白いシャツを膝まで捲り上げ、夢中になっているのか緋紗の存在に気付くことなく、手当たり次第引き出しを開いていく。 「……くそ、ここにもない」 緋紗は黙って部屋の入り口に立って、しばらく少年の後ろ姿を見つめていたが、少年は一向に気づく様子はない。 「ちっ、緋紗のやつ、いったいどこに隠してるんだよ」 悪態をつきながら、次の棚へと手を伸ばす少年を、緋紗は冷え切った目で見つめていた。 「……探し物なら手を貸そうか、煌」 少年は勢いよく振り返った。 切れ長の涼しげな目がドアの前に立つ緋紗を捉えて、驚きに見開かれる。 「緋紗!?なんでっ……」
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