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もし今日、煌が通行証を手に入れることができたとしても、王宮を抜け出すことは叶わなかっただろう。
通行証といっても身分証のひとつに過ぎず、それでいつでも好き勝手に外出できるという訳ではない。
宮殿への出入りは厳重に管理されているのだ。
「だいたい、お前は懲りるということをいい加減覚えろ。前に外壁を越えようとしたときどんな目にあったか、もう忘れたか」
「……だから、今回はちゃんと通行証で、と思って」
思わずため息が出る。
「馬鹿が。煌、お前は無断で王宮を抜け出そうとして衛兵に捕まったんだろうが。塀によじ登ったからじゃない」
「でも、緋紗にお願いしたって、外出許可してくれないし!」
「理由もなく許可できるか」
「だったら、緋紗の許可証を使うしかないじゃん」
「窃盗は重罪だ。そんなに衛兵に突き出されたいのか」
「俺を衛兵に突き出す気なんかないくせに!」
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