第9章

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もう、どうにでもなれ。 誉稀は小さく深呼吸をすると、ぽつりぽつりと浅葱に話したのと同じ内容を緋紗に説明した。浅葱には全て正直に話してしまっているので、いまさら取り繕う必要もない。 厳しく問い詰められるかと思いきや、緋紗は責めるでもなく黙って誉稀の話を聞いていた。それでもまっすぐこちらを見つめる視線は痛いが。 「……だから、煌は悪くないんです……俺が、余計なことをしたせいで、すみませんでした……」 煌をけしかけたのは自分で、こうなったのは自分の詰めが甘かったせいで、煌は悪くない。 話し終えた誉稀が頭を下げると、緋紗はしばしの沈黙のあとで深いため息をついた。それだけでびくりとする。 だが、緋紗よりも先に動いたのは浅葱だった。 「私の監督不行届です。私からもお詫び申し上げます」 浅葱はそう言って深々と頭を下げた。少しはとりなしてくれるのかと思いきや、そんなことはなかった。 さて、どんな罰を言い渡されるのか。 親の威を借りるつもりはないが、自分が特殊な立場なのは理解してる。今は浅葱に預けられている身なので、いくら緋紗でも王宮から追い出すようなことはしないだろう。 鞭打ちか謹慎か。 前者なら多少尻は痛むだろうがそれで済む。だが後者なら、また外部との接触を一切禁じられて、日がな一日部屋に閉じこもって何をするでもなくひたすら書き取りをする生活が待っている。そっちのほうがずっとつらい。 いずれにせよ、直接手を下すのは浅葱だろう。 誉稀はじっと緋紗が下す沙汰を待った。
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