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「だが、お前たちにとっては幸か不幸か、お前も煌も王宮の序列外だ」
そう。煌も誉稀も厳密には王宮に雇われた使用人ではない。そのため大抵のことについては公的な処分は免れるが、かわりに主人からのお仕置きが待っているというわけだ。
「あとは俺の裁量で煌をどうするか決める。お前は煌は悪くないと言ったが俺はそうは思わない。きっかけはどうであれ、したことに変わりはない」
緋紗がそう判断する以上、煌がなんらかの罰を受けるのは致し方ない。
それに、煌が表舞台に出てくることはないが、緋紗の従者だということは周知の事実。緋紗の立場上、身内だからといって従者を特別扱いしては他に示しがつかない。
その点、緋紗も浅葱も身内に甘いということはない。
……むしろ浅葱は身内にだけ厳しい。
「お前は俺の部下でもなければ王宮の使用人でもない。浅葱の私的な従者だ。お前に対する全ての責任と決定権は浅葱にある。浅葱がお前をどうしようが俺は関知しない。それがどういうことだか分かるか?」
緋紗に見つめられ、誉稀はごくりと生唾を飲み込み、小さく首を左右に振った。
「お前が問題を起こせば責任を問われるのは浅葱だということだ。覚えておけ」
そんなことは考えたことなかった。
浅葱からそんなことを言われたこともない。
「……はい」
神妙に頷く誉稀を見て、緋紗は息をついて背もたれに身を預けた。
「お前は素直だな。友人思いで、頭の回転も早い。軍にやるのが惜しいな」
そんなに褒められると居心地が悪い。
浅葱をちらりと見ると、なんとも言えない能面のような表情をしていた。
……そっちは見なかったことにしよう。
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