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第7章/ReSTARTER/45.挨拶
早朝の通学路を、愛車のルイガノ・シティバイクで走り抜けていく。
いつもの朝――いつもの商店街。
福屋教諭の逮捕後、相変わらず五十海東高はざわついているけれど。
それでも、日々は続く。退屈で、しんどくて、ほんのちょっとだけ楽しいこともあったりして。
いつもの朝――いつもの交差点。
赤信号に行く手を阻まれ、自転車を降りて歩道に身を寄せると、先客がいた。
敷島だ。
向こうもすぐにあたしの存在に気づいたのだが、何故か急に目を泳がせるような素振りを見せた。あれは何か後ろめたいことがある時の顔だ。そう言えば、この間の試合の結果を聞いてない。勝ったらしいけどあまり内容が良くなかったのだろうか。それとも、文化祭の事件のことでまだ何かあたしに隠していることがあるだとか。
わからない。でも、わからないままでも伝えられることはある。
だからあたしは、あいつに先んじて、こう言ったのだ。
「おはよ、敷島」
「おう」
これ以上ないってくらいぶっきらぼうないつもの声が返ってきた。
【了】
⇒be continued to "Aoharu Youth Mystery"
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