彼女のいない一年間

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『・・・ねぇ、知ってる? ここの神社ーーーと関係があるらしいよ』 ふと耳元で無邪気な声が聞こえた気がした。 陽炎が揺らめき、じりじりとコンクリートを焼く日光の下であの日の彼女は笑う。 「・・・そんなの知ってる」 あの日と違う答えを出せば彼女がそこにいる気がして、口に出した言葉は煩く泣き叫ぶ蝉の声にかき消された。 むしむしと温度が溜まっていく一方だったものがさぁっと突如拭いた冷たい風に浚われて一瞬で目が覚めたような気がする。 白昼夢でも見てしまったかのようだ。 目の前に彼女がいて、一年前のやり取りをしていた。 ざわざわ、教室にいた時とは違う、そこには何もないのになにか得体のしれないものに手招きされているような、油断すれば身体を持っていかれてしまうような恐怖に襲われ心臓がうるさく鳴り響く。 いつの間にか蝉の声なんか聞こえなくて。 いつの間にか目の前に来ていた神社への階段に一歩足を進めた。 一年前に消えたのは彼女。 それなら今回は・・・?
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