彼女のいない一年間

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「---さんが行方不明になって一年が経ちます。 警察は・・・・・・・・」 珍しくシンとした教室に重々しく話す教師の声が響き、何故か苛々と気がたってしまう。 二日経っただけで飽きて対して話題にも出さなくなったくせに今更、こういうきりの良い日にだけは話に出すのかよ。 不機嫌そうについていた頬杖を乱暴に崩して立ち上がれば人の波に流されるように熱気の籠る体育館に移動した。 わざとか何なのか、昨日までわざとらしい笑顔を浮かべて挨拶してきていた校長は必死に小さなハンカチで大量に流れ出る汗を拭きながら悔しそうな声を出す。 合図で一斉に目を瞑り、生きているかも死んでいるかもわからない彼女に黙祷した。 心配だ、可哀想。 そんな言葉はみんな嘘ばかりでその時ばかりの話題でしかなかった。 ああ、もう嫌だな。 今まで思い出さないように、考えないようにしていたのにざわり、ざわりと胸が嫌な風に騒ぎだす。 良い話題が出来たとばかりに解放された放課後だというのにいつまでも教室に残り心にない言葉を吐き出しつ続けるクラスメイトに、耐え切れなくなり飛び出すように教室をでた。
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