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スナーク狩り
その男は棚の中の物を手当たり次第に引っ掻き回していた。
床にはタオルや何かのケースなど、様々な物が散乱していた。
その部屋にあった棚全てを空にし、男はいきり立った猛獣のように息を荒げながら棚を睨みつけていた。
すると、男は何かを思い出したように一瞬息を止め、突然振り返って走り出した。
その部屋を出て、廊下に転がっている別の男性のわきをすり抜け、男はリビングにたどり着いた。
リビングには大きめのトートバッグが置かれていた。
男はそれを見て一目散にトートバッグのもとへ行き、それをひっくり返して中の物を全て床にぶちまけた。
手帳、ペン、ハンカチ、ティッシュ……バッグに入っていた中で、男が目をつけたのはビデオカメラだった。
男はそれをひっつかみ、震える指で録画されているビデオを再生した。
それは運動会の様子だった。何人もの小さな子どもたちが、闘志をみなぎらせて我先にとゴールを目指し、走るところが撮られていた。
しかし、男の目的はそこにはなかった。
男が見ていたのは、運動会の向こう側、学校のフェンスを抜けたところにある道路を歩く自分自身だった。
それを見つけた瞬間、男は狂気に満ちた笑みを浮かべ、高々とそのビデオカメラを天井に向かって掲げた。
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