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運動会などイベントごとで俺のことを撮影した後は、決まってその日の晩にリビングで上映会が始まるのだった。
そうだ、リビングだ。きっとカメラはリビングにある。
俺はばっと振り返って、先ほどから全く動かなくなった男性の横を走り抜け、玄関から見えたリビングに向かった。
リビングに入ると、見渡した限りではビデオカメラはなかったが、大きく膨らんだトートバッグが目についた。
俺はトートバッグをひったくるようにつかみ取り、中身を全部床にぶちまけた。
物が散らばる音が聞こえてくるはずだったが、俺の耳に入ってくるのは自分の荒くれだった心臓の鼓動だけだった。
がたん、と一つだけ何かが床にぶつかる音が聞こえ、俺はそれを見て一瞬時が止まったように感じた。
あった。
俺は藁にも縋る思いで鈍く光ったグレーのビデオカメラを拾い上げ、指を震わせながらビデオを再生した。
がんばれー、抜かせー、様々な応援の声が怒号のようにグラウンドに響き、それを身体に受けながら腕を必死に振ってゴールを目指す子どもたちの姿がそこにはあった。
そしてその向こう、フェンスを越えたところに、はっきりと俺の顔が映っていた。
俺は口元が自然と持ち上がるのを感じた。
喉からかすれた笑い声がこみ上げてくる。
いた。見つけた。俺だ。
俺が殺人なんか犯していない証拠だ。
俺はビデオカメラを天高く掲げ、勝利を確信した。
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