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病院のベットで男は目を覚ました。
男の右手は包帯でぐるぐる巻きになっていた。
男の手は肘から先がなくなっている。
目の前にはレストレード警部。
「話を聴かせてもらうよ」
「犯人はナタを振りかざしてきたと言うんだね」
「そうです、切り裂きジャックですよ、きっと」
男がナタで手を切り落としたのだと言う。
「そいつが切り裂きジャックですよ、警部」
「そうだな、きっと」
犯人の似顔絵を作成した。
その顔は夏目だった。
そう、僕の名前は夏目金之介。
あの文豪夏目漱石と同姓同名だ。
僕は病院に行く途中、一人の日本人が近寄ってきた。
「俺の名前は森林太郎」
ずいぶん高飛車だ。
「軍医だ」
だからか、威張ってる。
「そのうち森鴎外と名乗る男だ」
男は胸を反らしていった。
「森鴎外?あの文豪の?」
「そうだ」
「君は怪我をしてるね、俺が診てやろう」
そうして僕は森から治療を受ける。
すると不思議なくらい簡単に傷が塞がった。
「結局出血多量で死んでしまったようだね」
死体が転がっている。
犯人は殺人鬼なのか。
「切り裂きジャックだよ、ワトソンくん」
『名前をなくした猫』
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