本屋さんと図書室の怪奇現象

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本屋さんと図書室の怪奇現象

 夕方の図書室、冷房目当てで入り浸っていた一郎達はふとあるモノに気付いた。人気の無い謎の扉、その存在に。 「なあ番町、あそこってなんだ?」 「倉庫とかじゃないかな」  一緒になって蔵書の漫画を読んでいた沢田が一郎に尋ねる。当然一郎もそこが何かは判らないが、聞かれると気になってしまうのも無理はなかった。 「開けてみるか」  本をテーブルに置いた二人は件の扉に手をかける。  扉の前は立て付けに問題があるのかギシギシと足音が響くが気にせず手をかけて、一郎はノブを回した。 「あれ?」  だがドアノブを回しても扉は開かない。鍵でもかかっているのだろうか。 「開かないぞ」 「貸してみろ」  沢田も試したが確かにドアは開かない。  気になった二人だが、何度か試すとギシギシと足音を立てながらその場から離れる。  その時は諦めたが、翌日気になった一郎は図書係の生徒に尋ねてみることにした。 「───ほら、ただの物置部屋だよ。いかがわしい本とかを隠しているわけじゃないって」  一郎にそう解説する図書係は簡単にドアを開ける。そんなバカなと一郎は取っ手をつかんでガチャガチャと回してみてようやく気付く。自分が思い違いをしていることに。     
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