ピンクサファイア

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ブログで見る園田の金満生活。 高級国産車と外車を所有。 友人と共同オーナーしている競走馬が愛しいとか。 美食が生き甲斐で、国内のあちこちで食べ歩いてはそれを自分のブログに載せてる。 猟友会に入っていて、ライフルの手入れが至福の時だそうだ。 何よりもあたしの気を引いたのは 何年か前に妻を亡くし、女に飢えていること。 久々に見つけた上玉だ。 律儀で真面目な園田の性格は、ブログの文章、毎日の更新に現れている。 あたしはハンドルネーム『ピンクサファイア』を名乗って園田のブログの読者になり、コメントをマメに残した。 園田は必ず返信をくれて、やがて親密になった。根気強いやりとりの末、ついに会う約束を取り付けた。 高級ホテルのディナー。 「思っていた通り、宝石のように綺麗な方だな。7時の予約です。さ、行きましょうか」 ニコニコと笑顔を見せる。あたしのことが気に入ったみたいだ。 この店は待ち合わせの場所。 こんな安いファミレスで食事なんかしない。 「あの…」 あたしは眉でハの字を作ってみせた。 「せっかくなんですが…」 「なに?」 ご機嫌だった園田の表情が瞬時に強張る。 あたしは上目遣いでしおらしく言った。 「実は、園田さんに今日お逢い出来るって嬉しくて嬉しくて。昨晩は全然眠れなくて、気付いたらお台所で肉じゃがを作っていたの。 わたしって、お料理得意でしょ?いつのまにか、つい3段重ねのお弁当作ってきちゃったんです。お花見で食べるようなやつです。マンダリンホテルのディナー、楽しみだったんですが、キャンセル出来ませんか? 初対面で厚かましいお願いですが、園田さんのご自宅で一緒に頂けたら、と思うのですが、どうでしょう?」 園田の目に、うっすらと涙が浮かんだ。 「ピンクサファイアさん…君は俺の理想の女だ。亡き妻も君なら許してくれると思う」 あたしの手を両手でぎゅーと握った。 おっさん、拍子抜けするほどチョロいな。 手作りとか嘘。肉じゃがも五目巾着も出汁巻き卵も、みーんなデパ地下のお惣菜。結構な金額だったよ。ま、投資だからね。 それにしても、手のひらが汗でベトベト、気持ちわりぃ…
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