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そして、懐から綺麗に折られた紙を何枚か取り出した。
「フィト、コンラッドが書いてたもの、見たいだろう?」
空には透き通るように光る虹が出ている。
今にも泣き出しそうなフィトが、こちらを向いた。
「コンラッド、お前の成長記録つけてたみたいだぞ?」
本当に書いていたのか、と最初にコンラッドの部屋でこれを見つけた時には驚いた。
どれだけ過保護なひとなのか、とも思った。
「お前はコンラッドに愛されてたんだな」
フィトからの答えはない。
ただ、応えはあった。
ゆっくりとフィトの両腕が俺の方に伸びてくる。
もう怖くはない。
俺を変えたのはお前だ。
お前なら俺を受け入れてくれる。
どんな過去を持っていようと、今の俺をちゃんと見てくれる。
「ルイス……」
涙声が俺を強く抱き締めた。
何故か、また懐かしい匂いがした。
「フィト、お前のことは俺が守るから」
応えるように俺もフィトの背に腕を回し、強く抱き締めた。
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