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油断。②
開いたスマホの、あるアプリをタップして。その画面を見た俺は思わず顔が緩んでいく。
『雨音クン…っ…///ハァ…ハァ…///…も、もぉ許してぇ…モモ、恥ずかしいよ…ぉ…///』
甘い声で喘いでいる、画面の女の子を見てゴクッと喉を鳴らした。
「……はぁ……モモ…可愛いっ…可愛いよ…もっとモモを可愛がってあげるね…?」
画面の【モモ】に話しかけて。
ニヤニヤしながら息が荒くなる。
……ヤバイ。
縛られているモモ……可愛いッッ!!
瞳をウルウルさせて俺を求める姿に…。
クソ萌える~~!!
興奮して。
さっきの告白後の氷点下な気分から一気にテンションが上がっていく。
そう、俺は…。
このむさ苦しい男の園とエリートを目指すストレスの解消法としてエロゲーにハマッてしまい、誰にも悟られないよう、ひっそりとストレスを解消していた。
「可愛いなぁ……モモは…モモだけが俺を癒してくれる……大好きだよ、モモ…」
画面にチュッと口付けると。
『あっ…ん…///ヤダ、恥ずかしい…っ…。でもモモ…雨音クン…好きぃ…///』
可愛い声で俺の名前を呼ぶ【モモ】に。
更に画面をタップして。
モモの体を縛りつけているヒモをゆっくりと優しくほどいていく。
「モモ……ハァ…ハァ…」
画面を食い入るように見ている俺はこの時。重大なミスを犯していた。
「ハハッ♪…すっげー面白いモノ、撮れた…www」
誰もいないと思っていた桜のすぐそばの草むらに人がいて。そいつに俺の恥ずかしい姿を盗撮されていた……なんて。
【モモ】に夢中の俺はその事に全く気付いていなかった。
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───────……
今日もまた、体育館裏に呼び出された。
朝、登校して机の中に教科書を入れようとしたら…中に白い封筒が入っていて封筒の中に入っていた紙を広げて見ると…。
【放課後、体育館裏に一人で来て下さい。】とだけ書かれていた。
また『付き合ってくれ』だろ…。
どーせ……。
……悪いが。
俺には既に【モモ】っていう、エロ可愛い嫁がいる。
だから今日も、いつもと同じように相手をフるだけ。
……たいした事じゃない。
そう思って体育館裏にたどり着いたのだが…。
あれ…?
誰も…いない……?
辺りを見回してみるが、どう見ても俺一人しかいない。
……人を呼び出しといて待たせるなんて。
何様のつもりだ、この手紙の主は…。
まぁ……いい。
相手がその気ならそれでいい。
遅刻する奴なんて、たかが知れてる。
それに……本来なら俺はこんな所で時間を潰している余裕なんてないんだからな!!
さっさと生徒会室に戻って新入生歓迎会を兼ねての体育祭の資料を作らないと。
ブツブツ呟いて。
その場を離れようとした瞬間。
「プッ(笑)……ホントに来た~♪」
人を小バカにした笑い声が。
俺の真後ろから聞こえてくる。
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