第1章 満員電車の中

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 俺は今両手でこの子の尻たぶの一番飛び出た部分を持ち上げるように触っているようだ。  随分高い位置にあるヒップだね。とか褒め言葉探してる場合じゃねぇ。  GJ俺の手! とかも言ってる場合じゃねぇ。  どうしよう。どうすべきだ。このまま手を離してしまえばいいのか。それで今までのことなかったことにしてもらえるのか。  ここで大声出されたら、俺人生終わっちゃうよ。こういうことには厳しい親だからきっと勘当だ。勘当されたらフリーターしか道がないよ。家とか買えないよ?  自慢じゃないが、優柔不断とヘタレをコーディネイトして歩いているとまで言われるこの俺だ。こんな切羽詰まった時に凛とした決断などできるはずもない。  幸いこの子は騒ぎ立てようとはしていない。ヘタに動かさなないほうがいいかも知れない。せっかく立ったなんかのフラグだし、相手が嫌がってなければいいじゃないかって呪文を心で10回唱えてみた。  19才童貞の浅はかさと笑わば笑え。大義名分って大事だよな。  ということで。ちょっとだけなで回したりなんかして。ああ、可愛いお尻……。  おぉぉぃぃっ!、何をしてんだよ俺!  の手!!     
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