第1章 満員電車の中

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 女の子に萌えたのは秋山澪以来で、三次元では初めてだ。  もうわかった。俺の両手よ。もうおまいらの好きにするがいい。もうどうなっても知るものか。  そんなわけで情けない決断をすると、俺は大胆になった。スカートの上からだけじゃなく、その下にあるはずのむふふにもほほしてみようと手を下げて行く。  彼女が動きを見せたのは、俺の左手がスカートの裾を持ち上げようとしたときだった。  そのとき俺の蚤の心臓の半分の心臓は、生物学的に死ぬところだった。もしかすると自律神経もいくつか止まっていたかもしれない。しばらくは呼吸も止まった。ハートブレイクショットである。  やり過ぎた! と俺の中でなにかが叫んだ。  彼女は前で組んでた手をほどいて、その左手だけを下げた。当然俺の手の動きを阻止するためだろう。  だが、顔は上げることはなくうつむいたままだ。  ホットした。呼吸が戻ってきた。心臓が壊死する前でよかった。これで。  これで続きができるぞ、むほほのほ。  彼女の左手はまずまくり上げられた自分のスカートを降ろす方に向かった。だが俺の左手は裾をぐっと強く握って降ろさせない。すると今度は尻を撫でまわしている俺の右手を阻止にかかった。  愛しの尻から引き離されてちょっとムッっとした俺(の右手)は、彼女の左手を迂回してパンツの裾をつかんで引っ張ってっやった。  セミTバック状態になってたはずだ。ストレッチ素材なのだろうか。簡単にびにょんと伸びた。  それを察した彼女の左手はそれを戻そうと動く。その隙にまた尻を撫で回す…阻止されてびにょーんと伸ばし…また戻され阻止されて…。なんか、楽しいな、これ。  そんな楽しい攻防をしばらく続けているうちに、列車が次の駅に着いた。  ドアは俺たちのいる側じゃないほうが開いたが、降りる人も多少だがいる。俺はその魅惑の尻から一時撤退することにした。こんな場面を他人に見られるのはさすがにまずい。  結果としてスカートは元の領域に復帰した。それは放っておいて、両手を最初の時のようにウエスト辺りに配置して、くいっと引き寄せる。
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