怖いのは何だ

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 達磨を片付け、部屋の汚れもそれとなく掃除した僕はキッチンから取り出したプリンを食べながらそろそろ家を出ないといけないなと考えていた。大学を卒業して6年が経ったけど、僕はまだ定職に就けていない。同級生の中にはもう結婚をしてる連中もいる歳になったけど僕は夜勤バイトで生計を立てている。1ヶ月前に行われた同窓会では僕の周りの人間が幸せそうにしている姿を見て今の自分を情けなく感じ、嫌な気持ちになった。最近結婚した旧友なんかは延々と嫁自慢をしていたけど同窓会の場では許してやろうなんて気持ちにもなれた。マイホームを買ってからは仕事もうまく行っているそうだ。是非その幸せを分けてもらいたいねなんて思いながら同窓会を過ごしていた。しかし、久しぶりに旧友たちと会ったことで今までチャレンジできなかった様なことをやってみようと思えたことも事実だ。きっとそろそろバイト生活も終わることだろう。  食べ終えたプリンの容器を捨て、荷物と着替えを片手に玄関から外に出る。さっき同窓会のことを思い出したのが良い感じに気持ちを奮い立たせてくれた。夜勤へ向けてのやる気が幽霊や人の目への恐怖を和らげてくれる気がした。次なる仕事への意気込みを胸に旧友の家を後にした。
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