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「こいつらだって暇つぶしに書きこんでいるだけだろ。嫌なら見なきゃいいんだし、俺は、楽しいし。問題ないじゃん」
というふざけた答えが返ってきただけだった。さらに
「あ、このことを他の奴に言ったら、お前の個人情報ネットに流すよ。一度やってみたかったんだ」
と笑いながら脅された。
田中さんは、脅されたことよりも、柊の笑顔の醜さにショックを受けたという。
「猿が無理やり人間の笑顔をまねたような、目じりや眉根に力が入っているのに、唇の両端が耳たぶの方へつり上がっているような、とにかく醜いとしか表現のしようのない顔でした」
田中さんは柊がやっていることを知って以来、彼と距離をおこうとした。しかし、柊の方は聞いてもいないのに、ネット上で行った武勇伝を誇らしげに語り続けることをやめなかった。
柊の『荒らし』は徐々にエスカレートしていき、ついに彼の名や住まいを特定しようというとする人々も現れ始めた。
「へーきへーき、こいつら口ばっかりだし、俺は個人情報を特定できるような書き込みも写真も上げてないから。まあ、捕まえられるもんだったら、捕まえてみろって」
例の醜い笑い顔を浮かべながら、柊は田中さんにうそぶいたそうだ。
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