ゲーム

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麻里の家族には、順位があった。 お父さんが一番、これはずっと変わりがない。お母さんが二番、兄、麻里、弟は父が行うゲームで順番が入れ替わった。 やけどしそうなほど熱いお湯の中に、誰が一番最後まで入っていられるか。 父が振り回す物差しを背中やお尻で受け止めて、吹っ飛ばない人が優勝。 丸二日ご飯を抜いた後、お父さんが食べ残したものに最後まで手を付けなかった人が一番。 三番になると、朝ご飯と夕ご飯が食べられた。四番になると、夕ご飯は皆の残り物だけになり、残り物がない日は、野菜の皮しか食べられない。そして、びりになると家事を全部やらなくてはいけないうえ、朝ご飯も家族の残り物になった。  麻里はとにかくびりにだけはなりたくなくて熱いお湯にもがまんして入ったし、背中とお腹の皮がくっつきそうなほどの空腹も必死で耐えた。でも、2歳年上の兄よりはどうしても持久力がなく、1歳下の弟に勝つと半分くらい「姉のくせに弟に勝ちを譲らないのか」と父に怒鳴られてびりになった。  母は父と麻里たちがゲームをしている間は買い物に行くといって外出をしているか、料理をしているかで、一度もゲームをしている麻里たちを見ることもなかった。     
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