遊園地事情

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夢の国をコンセプトにした遊園地でダンサーをやってます。私は定期的に開催されてるショーに出ています。 結構、人気のある遊園地なんですよ。お客さんも毎日沢山来て。そういう人気のある遊園地だと、ダンサーやキャラクターにもファンができるんです。キャラクターは、いわゆる着ぐるみですね。着ぐるみにもファンがつきます。そのキャラクターが好きというのもあるでしょうけど、中に入ってる人のファンになるんですよ。中に人がいるというのはタブーというか、言っちゃいけないお約束ということにはなってるんですけど、熱いファンはキャラクターの動きであだ名つけるんですね。例えばネコのキャラクターがいたとして、今日のネコは動きが大きい「ワイルド」、今日のネコは楽器がうまい「ドラマー」みたいな感じで、ファン同士で独自にあだ名作って情報交換してるんです。今日のショーのネコはドラマーだったね、みたいな。 そんな感じで、ダンサーにもファンがつきます。私は口が大きかったので、通称ビッグマウスと呼ばれてました。 あの日は、ショーが午前中で終わったから、午後は遊園地内を歩いてたんです。すると、よく見るお客さんが近づいできたんですね。 「ショーに出演されてるビッグ、いやダンサーさんですよね?」 そう話しかけられました。ビッグマウスと言いかけたな、とは思いましたが、まあ純粋なファンの人っぽいのでそうです、と答えました。 「頑張って下さい~!応援してます!」と言って手を振ってくれました。普通の感じの女の子でした。
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