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長い黒髪に、大きな瞳をした【奴】は、ミツオに顔を近づけると、
「でも、ご免ね、明日の本番用に試しに作っただけで、
もう、かたしちゃったんだ」
「で、では、この部屋には、ニオイだけしかないという事か・・・」
ミツオは尻尾を撫でられながら落胆した。
「でも、せっかく来たお客さん第1号なんだから・・・
あ、ミルクがあったよ、ミツオ!」
ミツオの大きな耳が、ピクリと動いた。
【奴】は人差し指で、やさしくミツオの額をポンポンとたたくと、
「ミルクはあげるけど、文化祭本番は明日なんだから、
明日来てよね、お客さん!」
【奴】のやさしさに、ミツオの尻尾が垂直に立った。
「明日来たらさ、【ねこまんま】は、体に悪いからあげられないけど、
キャットフードを持ってきてあげるからさ!!」
ミツオは、大きな耳を、ピンとたてると、
「仕方ない、明日も、その文化祭とやらに来てやるとするか」
END
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