4/4
前へ
/9ページ
次へ
   長い黒髪に、大きな瞳をした【奴】は、ミツオに顔を近づけると、  「でも、ご免ね、明日の本番用に試しに作っただけで、   もう、かたしちゃったんだ」  「で、では、この部屋には、ニオイだけしかないという事か・・・」  ミツオは尻尾を撫でられながら落胆した。  「でも、せっかく来たお客さん第1号なんだから・・・   あ、ミルクがあったよ、ミツオ!」  ミツオの大きな耳が、ピクリと動いた。  【奴】は人差し指で、やさしくミツオの額をポンポンとたたくと、  「ミルクはあげるけど、文化祭本番は明日なんだから、   明日来てよね、お客さん!」  【奴】のやさしさに、ミツオの尻尾が垂直に立った。  「明日来たらさ、【ねこまんま】は、体に悪いからあげられないけど、   キャットフードを持ってきてあげるからさ!!」  ミツオは、大きな耳を、ピンとたてると、  「仕方ない、明日も、その文化祭とやらに来てやるとするか」                                 END
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加