リアルの自分

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今日の二限の講義は、休講となっていた。図書館にでもいって、ツイッターするついでに課題でもやろうかと思って歩いていた矢先、声をかけられた。 「あれ?玄野くん?」 聞きなれない、男の声だ。でもたしかに俺の名前を呼んでいる。 声の主のほうに目をやると、細身ながら筋肉質で、背の高い男が立っていた。 「玄野くんだよね? 俺のこと、覚えてる? ほら、バレーサークル・シュプリングの……」 と、そこまで言われてやっと思い出した。ああ、このGWに新歓に行かせてもらったサークルの部長さんだ。 「水木さん、ですよね? 先日はどうもありがとうございました」 「いや、こちらこそだよ。今日も練習あるからよかったら来てほしいんだけど……あ、それよりさ、ツイッターで玄野くんのアカウント見つけたんだけどさ、フォローしてもいいかな? 先輩にフォローされるとやりづらいこともあるだろうし、一応聞いとこうと思ってね」 「えっ……? えーっと、あの、僕のアカウントどうやって見つけたんですか?」 僕は内心かなり動揺していた。自分のツイッターアカウントは鍵垢だし、完全にツイッター内でしか繋がっていないはずだから、つい最近知り合ったばかりの人間に見つかるはずがないのだ。 「どうやっても何も……実名でやってるじゃん? ほら」 そう言って水木先輩は、スマホの画面を僕に見せてきた。 ========================== 玄野玲  @僕僕僕 E小→E中→T北高→N大経済学部経済学科1年 20 フォロー  19 フォロワー ========================== そこに記されていたのは、間違いなく僕の本名、フルネームだ。そして、小学校から現在にいたるまでの、正確な僕の学歴。 それだけではなかった。 「ほら、それにこれ」   玄野玲(@僕僕僕)《バレーボールサークルの新歓なう!もちろん未成年なのでソフトドリンクで健全に笑》 投稿時間は、僕が新歓に参加していた時間帯だった。
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