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ことが再び動き出したのは、それから一ヶ月後。友人と遊びに出かけていたときのことだった。
「いやー、それにしてもさ、彼女いるなら先に言ってくれよなー。ツイッターで自慢しくさっちゃって、羨ましいよ」
「え、僕そんなツイートしてた?」
おかしい。確かに僕には彼女がいた。高校からの友達で、同じ大学に進学してきていた。お互い新しい環境にうまく馴染めず、なんとなく一緒にいることが多くなって、成り行きで付き合うことになったのだ。でも、リアルではもちろんのこと、ツイッターでも彼女を匂わせるような発言なんて一度もしたことがなかったはずだ。いったい、どこからバレたのか……。
「は? とぼけんなよ。ご丁寧に画像つきで、ラブホ行ったツイートしてたじゃんか。大胆だよねー。あ、でもあれもう使わないって言ってた垢だっけ? またあっちも使うの?」
あっち……。まさか、と思い、僕は友達の目の前なのも気にせずスマホを取り出し、ツイッターを開いて、あのアカウントを見てみた。あの、偽物の「リア垢」を。
玄野玲
持って回った書きぶりで、だがしっかりと画像つきでツイートしていた。写真の中では、僕の彼女がバスタオルを巻いた姿で、大きなベッドの上に座り、手で目の部分を隠していた。顔が隠れていても、僕にはわかる。これは明らかに僕の彼女だ。
でも、なぜ? 僕は彼女とまだラブホどころか、体の関係すら……。あの「リア垢」は、僕が経験したことだけをつぶやくんじゃ……。明らかにこのツイートは、僕の記憶にないことをつぶやいていた。だとすると、僕じゃない誰かが、彼女と寝たってことじゃないか。
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