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「ーー……来るぞ」
ザバアアアアアアアアアッ!!!
大きな水柱から出てきたのは、大きな黒い獣だった。
鰐のような口に、長く蓄えたひげ、顔にいくつもある鋭い赤い目、珊瑚のような角、そして黒い鱗に覆われた長い胴体に六本の蹄がついている脚が生えている。
まるで黒い龍のような巨大な獣は怒りを露にして鳴き叫び、神社に向かって飛びかかる。
「放てーーーッ!!!」
ライフル銃を構えた兵士達は一斉に射撃を始める。
しかし銃弾は龍の体から弾かれる。
まるで鋼の鎧を身に纏っているかのように、鱗が銃弾を弾き返していた。
そして、龍はそのまま神社に突っ込んでいき、神社を崩壊し、奥にいる兵士達を踏みつけ、噛み付き、次々と殺めていく。
「……化け物め」
目の前で起こっている修羅を厳しい目で見つめる。
「なぜ!?もう封印は施したはずなのに……!?」
「まだ効果が発動しないのだろう。時期にあやつも……」
と、側近と会話していた碓氷だが、龍は彼に気付き、狙いを定め、碓氷に飛びかかってきた。
「碓氷様!!」
碓氷は怯むこと無く、即座に懐に隠し持っていた札を付ける。
だがやはり効果がないのか、そのまま勢い落ちること無く彼の右腕をくわえる。
そして、
ブチブチィッッ!!!!
「くっ…………!!!」
くわえられた方の腕を肩ごと喰いちぎられてしまい、少しバランスを崩しふらつく。
「う…う、碓氷様ああああ!!!」
側近が慌てて彼に近寄り、治療を行おうとしたが、
「来るな!!やつの狙いは私だ!!」
碓氷は側近の方を見ること無く、湖の上に飛ぶ物の怪に警戒している。
物の怪も碓氷を睨みつけており口にはびっしりと赤い液体がついており、神々しさは既に無くなっていた。
グワアアアアアアアアア!!!
再び龍は彼に襲いかかろうとこちらに突っ込んできた。
ーー島の皆が私を頼りに待っているのだ。
ーーここでやられるわけにはいかない!
碓氷は渾身の力を振り絞り、再度お札を、今度は二枚顔に貼付け、なんとか動きを止めようと試みる。
しかしーー。
バグウッ!!
「うぐっ………!!」
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