3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの時、あの子に出会ったのも、この山桜が咲く頃だったっけ……懐かしいなあ」
数年前、彼女はここに迷子になって訪れた際にある者と出会った。 それは、人、ではないが、彼女に対し警戒心を抱かず、優しく接してくれた。
「……二年前までは一緒に遊んでたのに……。どこに行っちゃったんだろう……」
彼女は再び捜索を始めようと立ち上がる。
しかし、最悪なことに、座ったところの足場が悪く足を滑らせてしまう。
「!!??」
驚いた彼女だったが、さらに驚くことに、足を滑らせたが倒れることはなかった。
自力で絶えたわけではない。
後ろからしっかり彼女を抱える少年がー先程までは誰もいない状況だったはずだがーそこにいた。
「っぶねーな!怪我すっぞ!!」
「……げ」
少女は彼を知っているらしく、支えてくれてる少年の顔を見て嫌そうな顔をする。
「おいおい助けてやったのに「げ」はねーだろ。つーかお前、太ったんじゃね?腰回りが片腕で掴めるのやっとなんだけど」
「うっ……これでも痩せた方なんだよ!……二キロぐらい」
彼に支えられながら足場が安定したのを察して、後ろを振り返り彼を直接見つめる。
「はあ?たったの二キロかよ!それ痩せたって言わねえぞ」
はー……と深いため息をあからさまに吐く少年。
「頼むぞサヤ。お前仮にもこの村の巫女なんだからそれなりのスタイルになってもらわないと」
「わ、分かってるよ!ユウちゃん」
「……それに……、婚姻式も近いんだからな」
最初のコメントを投稿しよう!