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その時、桜の花びらが落ちた水面からザアッと人の顔が現れた。
「!!?」
思わずびっくりして肩をビクつかせるも、すぐ様正気を取り戻し、再び冷静になる。
その顔は面長で肌はきめ細かく、碧白い長い髪、そして鍛え上げられたかのようなむき出しの筋肉。まるでフィクションものの物語に出てきそうな青少年がそこにいた。
彼はずんずん水面から出てきて、何も身に付けてない裸の男が現れた。
「………」
彼はまるで眠りから覚めたばかりかのように眠気眼で辺りを見渡す。 サヤは彼が真っ裸なことに気付かず、唖然として彼を見つめていた。
ようやく彼は彼女に気付いて、その途端彼は子供のように蔓延の笑みを浮かべ彼女の元へ駆けつける。
「ーー……サヤ!!」
彼女に近づき、そしてそのまま抱きついた。
「!!??」
サヤはびっくりして硬直してしまう。
「……ああ、サヤだ。会いたかった……この日を何度夢見たことか……」
ぎゅっ、と抱きしめる力を強める青少年。
その声は絞り出すような、まるで、長く別れた想い人との再会を心の底から喜んでいるような、酷く切ないものだった。
「………」
彼女は唐突すぎる出来事に同様のあまり口をパクパクさせ、視界をあちこち動かしていた。そこで彼の姿を知ることになる。
「……キャアアアアアアアアアアア!!!」
グイッと彼の胸の中から脱出しようと無理矢理押し出し、自由の身になるといそいそ樹木の陰に隠れる。
「……サヤ……?」
彼は彼女の行動がよほどショックだったのか、か細く、悲しそうな顔で彼女を見つめる。
「……なぜ私を避ける……?私を忘れてしまったのか……?」
めげずに彼女の元へ歩む青少年。
「ひい!こっこないで下さい!!」
わあああ!と手で視界を覆い、彼の裸姿を見えないようにした。
「わっ私はあなたのようなイケメンを知りません!!ごめんなさい!!」
「サヤ……」
そっと彼は彼女に近づき、手を伸ばす。 その時だった。
「!!」
サヤは遠くの異変に気付き、表情を変える。
ーーまたあの気持ち悪い感じ……。こっちの霊感が強すぎて上手く感じ取れなかったんだ。
目を閉じてその悪い霊感の源を探る。
ーー……あった!でも、村から近すぎる!!
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