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「世のため森のため、人のためーー、ここで眠ってもらうぜ」
オオオオオオ!!!
彼の言葉に反応したのか、いきなり動きが活発化し、彼に突進しようとする。
「チッ!やっぱ効かねえか!」
物の怪の攻撃をかわそうと横に転がり込むも背中が疫病神の体に触れてしまう。
「うぐっアアアアアアアアアア!!!!」
パリパリ、と少しずつ服がボロボロになり、皮膚も溶け出してきた。 あまりにもの激痛に横たわってしまう。
疫病神はしめしめと、彼にゆっくり近づいていく。
ーーああ、じわじわと死が近づいているのが分かる。 全身から大量の発汗と痛みにより顔を歪ませるユウは一人、最期を迎えようとしていた。
ヒュ……
白く輝く何かがこちらに向かって猛速度で接近してくる。
ドスッ
それは疫病神に向かってそのまま突き刺さったのだ。
オオオオオオオオオオオオ!!!
痛みを感じたのか、体を反り上げてそのまま腹を上にひっくり返ってしまった。 疫病神の顔には白い白銀の刃が深々と突き刺さっている。
「ユウちゃん!!」
慌てて駆けつけたサヤ。少年に近づき手当を行おうとする。
「触んじゃねえ!!……サヤにもッ、移るぞ……!!」
ユウはなんとか自力で起き上がろうとするが、腐敗の呪いによる痛みが強く上手く力が入らない。
彼の言葉に耳を傾けず、サヤはテキパキと処置にかかる。
ハンカチを取り出すと、手のひらを彼の別の懐にあるナイフで斬り、血をしみ込ませその布を彼の背中に直接敷くと呪文を唱え始めた。
「彼の者の身を蝕む呪いよ。鎮まり時を待て」
すると彼の表情は少し穏やかになり、ゆっくり息を吐く。
「これで呪いの進行は止まった。早くアレを治めないと……!」
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