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「危うく皆の者に知れ渡るところだったんだぞ。恥を知りなさい」
「…すいませんでした」
正座で深々と彼女は頭を下げる。
「謝るのは誰でも出来る。もう二度とこのことがないよう肝に念じておけ」
「…はい」
襖を開けて部屋を後にしようとした碓氷だったが、去り際に一言呟くように放つ。
「……だが疫病神を治めたことは褒めておこう。よくやった」
ハッとサヤは振り返るも襖は固く閉ざされており、しかし彼女はそちらに向かってまた深く土下座をするのだった。
二人の居る部屋を後にした碓氷は他の部屋へ足を運んだ。
「……どうだ?着付けは終わったか?」
襖越しに声をかける。
「はい。丈もちょうど良くてぴったりです」
「開けるぞ」
スパン、と障子を開ける音を立てて碓氷は部屋の中に居る人物を目にする。
「……なかなか、様になってるじゃないか」
「………」
中に居たのはあの青少年だった。 しかも白縹ー青みを含んだ白い色ーの着物を身に着けている。
「サヤから話は聞いている。お前から強い霊感を感じたと」
「…………」
彼女の名が出た途端、眉間にしわを寄せ彼を睨みつける。
「名はなんと言う?」
「……アサギ」
「浅葱か!綺麗な名だな」
あまり嬉しくないのか、表情を変えず彼を見つめる。
「そう警戒するな。見たところそこそこ鍛えられているではないか。神の姿も捉えることができるとはなんと心強いことか。喜んで迎え入れよう」
「………サヤは?」
彼の話より彼女のことが気になるのか、碓氷に問いかけるアサギ。
「そう急がなくてもすぐ会える。あいつは私の娘だ。では案内しよう」
「………」
彼はまだ彼を疑ってるのか険しい顔を崩さないまま、彼の後に着いていった。
「ここは私、碓氷家が先代から使われている住処だ。そして私が率いるカミツカイの者達が通う学校も近くにある」
「カミツカイ……?」
「私がつけたものだ。私、陰陽師の血を引き継ぐ者達だ。だがそれもごく僅かで次に継がせるほどのものでもない。そんな陰陽師紛いのもの達に私含め陰陽師達が神納の方法を教えている」
「神納……」
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