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「…………」
ユウは得意げに胸を張っている。 それを気に食わなく思ったのか、アサギは彼を睨みつけ、しばらく二人の間に火花が散った。
「さっそく打ち解けて仲良くなってくれたようで、私は嬉しいよ」
「「どこがですか」」
細めで碓氷を同時に見る二人を見て自然と笑みを零す。
「以上がカミツカイの上位の者達だ。今日はこれで締めとしよう。明日も学校があるだろう」
「「「はい!」」」
座布団に腰をかけていたカミツカイ一同は威勢のいい返事をすると、一斉に立ち上がり片付けを始めた。
「学校……?」
アサギは首を傾げながらせっせと動く彼らを見ていた。
「君も見たところ、彼らと同年代だろう。ユウに連れて行ってもらいなさい」
「…………………」
口をへの字にしていかにも嫌そうな顔をするアサギ。
「そう嫌々しなさんな。着替えも使いに着せてもらおう。部屋に案内する」
賑やかになりそうだ、と微笑みながら部屋を後にした碓氷。 気付けばいつの間にか他にいた子ども達は部屋にはおらず、自分の居室へ戻っていったらしい。 アサギも彼に続いて部屋から出て、襖を閉めた。
~*~
山の輪郭沿いに光が漏れて、太陽が顔を出す。 辺り一面が黄金色に染まり、新しい朝を迎えようとしていた。 山の中にひっそりと佇む屋根瓦のある大きな館の換気口から煙がもれて、おいしそうな匂いを漂わせる。
台所で調理をするのは、割烹着を着たサヤだった。 鼻歌混じりに楽しそうに朝ご飯の支度を進める。
「……何を作ってるのだ?」
「わああ!!」
突然耳元で声をかけられ思わず声を上げるサヤ。 振り返るとそこには興味津々で目を光らせながら彼女の手元を見る男、アサギが着物姿で立っていた。
「あ……アサギさん、驚かさないで…」
「アサギで良い。それより、何を作っているのだ?」
大人っぽい顔には似合わないあどけない笑顔を浮かべて彼女を見るアサギだったが、腕を組んでいる胸元がはだけて色気がだだ漏れして思わず目を反らし、作業に集中する。
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