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「毎日サヤが作っているのか?」
机から覗き込むように、少し離れたところで盛りつけ作業を観察しているアサギ。
「そうだよ。私にはこれくらいしか皆に役に立てないからね。皆神納に勤しんでるのに、私はそれに協力することが出来ないから……」
少し菜箸の動きが鈍ったが、すぐに動きが早まる。
「皆美味しく食べてくれるから、私も嬉しいし!」
ふと、彼の方を見やると、プッと思わず吹き出してしまう。
「?」
「ふふ、まるでごはんが待ちきれない子みたい」
菜箸を持つ手で口を覆い、クスクス笑うサヤを見て、もらい笑いするアサギ。
「サヤ……。私は、実はーー」
何か彼女に伝えようとアサギが言葉を発した直後。
バタバタバタバタ……。 バッ!!
のれんを強引に引っ剥がし、現れたのはーー。
「あーっ!!やっぱここに居やがったかてめえ!!」
「ユウちゃん!?」
ズンズンと大股で歩み寄るのはボサボサ頭のユウ。 寝起きなのか少々着物も着崩れている。 彼に続いて使いの男達が入ってきた。
「親父の使いが朝っぱらから俺に「アサギ様を存じませんか」なんて起こしてきやがるからまさかとは思ったが!!てめえ油断の隙もねえな!!」
顔にいくつも青筋を浮かべて怒声を放つユウに恐れている様子も無く、ぼけーっと彼を見るアサギ。
「……何の用か?」
「何の用か、だと……?」
ユウの顔は怒りで真っ赤になり、今にも殴り掛かろうとしている。
「アサギ様、朝の支度を行うので部屋までご同行願います」
それを察した使いは慌てて彼にこの場から離れるよう急かす。
「………………」
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