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彼は自身の胸に何かが埋め込まれ、それにより痛みが生じているのがわかるとそれを強引に抜き出した。
小さなビー玉の鉛色のした銃弾だった。小さく文字がびっしりと書かれている。
「龍神め、侮ったな。私が作り出した呪いの銃は一度体から排出すると効果が切れるが、体が埋もれるほどに銃弾を喰らうと、どうなるかな……」
遠く離れた神社から、碓氷は龍神との戦いを見定めていた。
「第二軍、放てーーーッ!!」
ガチャガチャガチャガチャ!!!
一斉に構えられたライフル銃から大量の銃弾が放たれ、龍神の体を蝕んでいく。
「ーー………ッッ!!!!」
声を発することも出来ないほどの強烈な痛みに絶えながらもなんとか踏ん張り、手にある刀を力一杯に森の茂みにいた兵士達に向かって投げ飛ばす。
ブンブンと重い音を立てながらブーメランのように円に沿うように飛ぶ刀は、そのまま兵士達の体を貫いて、森林の木々を薙ぎ払い、力が弱まったところで木に突き刺さり、刀の暴走は止まった。
薙ぎ払われた木のように、ずるずると分離された上部分はバランスを崩して地面に落ちていった。
「お、おお、おおおおっかねえええ……」
「ああ、あんな人を人だと思わねえヤツと戦うってのか、ええ……」
双眼鏡で山手のほうの戦いを観戦していた神社側の兵士達は、顔を真っ青にしてその光景を見ていた。
「当てり前だ!おらたちはかみさんを相手にしてんだ!死なねえ方が奇跡だってもんよ!」
「おらけえりてえだ……」
「今更遅い!祟られて終わりだぞ」
「だが、祟られることもねえかもしんねえぞ」
双眼鏡の向こうには、ふらふらと何とか立っている龍神の姿があった。
傷口からは止めどなく血が吹き出し、今にも倒れそうだ。
月の方にいる少女の方も、四肢は失われ、残り僅かとなっていた。
「か……や……!!」
彼女に手を伸ばすも、その手は少女に届くはずも無く。
ザバアアンッ!!
限界を迎えた龍神はそのまま大きな水音を立てて、湖の中に落ちていった。
「やった……のか……?」
ざわざわ、と喜ぶ者や疑心暗鬼になる者がいて、兵士達は急に騒ぎ立て始める。
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