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「雨か。うるせえから窓閉めとけ」
古びたソファに座って、朝だというのに酒をかっくらっている、銀短髪の汚い男がそう言った。
テオは男に言われるがままに、少し高いところにある古い磨りガラスの窓を、一生懸命に閉めた。
途端に薄暗くなる、寂れたアパートの一室。
遠くなった雨の音と、男が酒を飲む音だけが聞こえる。
テオはそのままどうしたらいいのか分からず男の方を見たが、男は視線を合わせることもなく、ただ酒を飲んでいるだけだった。
テオはどうしようもなくて、そこにあった椅子にぽつりと腰をかけた。
しばらくそうして静寂に包まれていると、部屋の外から階段を上がって来る音が聞こえた。
「……来たか」
男がそう呟いた。古いドアが重く、ギィと開く。
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