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そして、文化祭、当日。
1年2組のお化け屋敷は、なかなか賑わっていた。
「お疲れ。剛の作った看板、評判いいみたいだよ。剛、昔からああいうの得意だもんね」
結衣が声をかけてくる。
かったりーなんて言いながら、実はめちゃくちゃ気合いを入れて描いた看板を、褒められるのはやはり嬉しい。
「中はどうなん?看板は立派なのに入ったらガッカリ…なんてことになるなよ?」
「それは大丈夫。中も超気合い入っててめっちゃ怖いはず」
にっ、と結衣が笑う。
「入ってみる?」
「……えっ」
思わず言葉に詰まる。
いや、怖いわけじゃないけど。
うん、怖くなんかない、よな。所詮クラスの奴らが作ったものだし。
そうだ、怖がりだなんて、もう言わせない。結衣にそんなふうに言われたくない。
「しょーがねーな」
一瞬の迷いを振り切って、言った。
かくして俺と結衣は、5年前と同じように、ふたりでお化け屋敷に入ることになった。
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