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最後の通路に差し掛かる。出口の明かりを背に、キモノを着て日本人形を抱いた座敷わらしのような小さい女が近づいてくる。 「わっ、ちょっ、怖い怖い怖い!!」 結衣が俺の後ろに隠れて、背中をぐいぐい押してくる。 「バカ、別に怖くなんかねーよ!これあいつだろ、ほら!あの!」 手品の種明かしをするように、座敷わらしの正体を暴こうとしたけど、内心パニックで目の前にいるクラスメイトが誰なのかわからない。 恐怖、ではない。それもないわけではないけれど、それ以上のパニックの原因は。 背中に感じる、結衣の体温。 手のひらを押しつけられている、感覚。 なんだよ。 お化け屋敷なんか怖くなくて、ビビる俺に手を差しのべることすらした、強くて可愛いげのない結衣はどこ行ったんだよ。 なんだよ、結衣。 いつからこんな、可愛い女になったんだよ。 「…しょーがねーな」 恐怖とは違う心臓の鼓動を悟られないように、精一杯の虚勢を張りながら、あの時とは逆に、結衣に手を差し出した。
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