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復帰することになって
約6年のブランクを挟み、店長にメールした。
もうわたしのこと、忘れてるんじゃないかな?
そんなふうに思っていたのに、
『久しぶりだな!とりあえず会いに来いよ!』
そんな軽いメールに、重たい心を引きずりながら、どうにかこうにか指定された駐車場までたどり着く。
見たことないような、真っ青な車に乗ったスタッフが駐車場まで迎えにきた。その時点で、やっぱり帰りたいな、と思う。
でも帰れない。
とりあえず、店長に会ってから考えよう。
出産を経て、弛んだ身体。
髪の毛に混じる白いもの。
人に晒すなら、きれいにすればいいと思われるかもしれない。でも、わたしにはそんなお金さえ、手元にない。
仕事のために、新しい下着を買うことすらできない。
そんなお金があれば、ここには来ないのだ。
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