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2017年7月13日
クーラーがぶっ壊れてクソ暑い。
扇風機なんかあんまり意味がない。
ぼかぁ、釜堀武彦…………しがない探偵だ。
趣味は女を漁ることだ。
探偵は好きでやってるわけじゃない。
仕事がないから仕方なくやっている。
神戸の近くにある芳泉町ってところに事務所を構えている。海沿いにある田舎町で駅からも近い。
左隣はパン屋、右隣は文具屋だ。所長は尾形翔、45歳。萩原健一にどことなく似ている。他に小田敏夫、38歳。小橋博子、27歳。
俺は37歳だ。はぁ…………アベノミクスめ!
尾形はデスクに足を投げ出してスマホを見ていた。対象の車につけた発信器と連動している。
小田はソファでプレイボーイを読んでいる。
「滝瀬すず子可愛いなぁ」
小田は元トラック運転手、ケンドーコバヤシを小さくした感じだ。小田が大きなアクビをした。
俺たちは背筋も凍るような事件を追っていた。
2週間前の黄昏時、50代前半の小柄な男性が訪ねてきた。応接セットの肘掛け椅子に座った依頼人が震えながら言った。
「目玉をくり貫かれる、助けてほしい」
男は猿山ってゆーサラリーマンだった。
10年前に猟奇殺人を起こしていた。
自分の愛していた女が不倫していた。それだけの理由で美奈子って恋人を目玉をくり貫いて殺した。
普通なら死刑にあってもおかしくないが、看守がとんでもない悪人で両親を殺すってゆー条件で猿山を逃した。
「山田って看守なんだけどさ?コイツのお陰でシャバに戻った奴が何人もいるんだ」
「目玉をくり貫かれるってのはどーゆー意味だ?」
小田がタメ口を叩くから猿山が怪訝そうな顔をする。「てめぇは亀田興毅か?」
「どーゆー意味かって聞いてるんだ」
「クビリオニって知ってるか?」
「あぁ、世間を騒がせてる殺人鬼だろ?」
クビリオニの被害にあった奴らは《前科者》って共通点があった。
4月に京都の三条河原で首のない死体が見つかった。眞田顕、17歳のときに同級生、安田の首を切り落とした。日常的にその同級生からイジメにあっていたことから情状酌量された。
事件現場には《クビリオニ》って血で書かれたmessageが残されていた。
当初は安田の遺族が疑われたが両親とも完全なアリバイがあった。
さらに5月には水野篤郎って証券マンが鼻を削ぎ落とされて殺された。
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