私立探偵釜堀の事件簿

青木ヶ原樹海

　水野の死体が見つかったのは青木ヶ原樹海だ。
　ご存知自殺の名所だ。
　水野も渡辺って男の鼻を削いで殺している。
　渡辺とは就活中に知り合い男と男の関係になった。自殺をするつもりで青木ヶ原樹海に行ったが、水野は突然変異して渡辺の鼻を削いで食べた。
　精神異常が認められ医療施設に措置された。
　治療を終えて社会復帰したが、渡辺を殺した同じ場所、同じ手段で殺されてしまった。
　そこにも《クビリオニ》ってmessageが残されていた。
「私も水野たちみたいに殺されるんだ」
「心配しないでください、我々が必ず守ります」
　尾形は自信満々な口調で言った。
　依頼人には何と娘がいた。
　離婚しているから旧姓だが、宮沢りえってゆーのだ。
「私は勿論、娘のこともやってほしい」
　宮沢りえは25歳、芳泉中学校の教師をしている。
　小橋寛子はアイスコーヒーを依頼人に出した。寛子はグラマーなわりに童顔だ。元キャバ嬢だ。
　依頼人が娘の写真を見せてくれた。　
「あら、可愛らしい(^-^)カマちゃん?お嫁さんにしちゃいなさいよ?」
　小田が女っぽい口調で言った。
「こんな稼ぎじゃ嫁さんなんてまだまだですよ?」
　尾形が舌打ちをする。「俺への当てつけ?」
「イヤイヤ、所長の被害妄想でしょ?」
「贅沢言ってる場合?早くしないと40になっちゃうわよ?」
　アンタは俺のおふくろかよ?
　宮沢りえの隣には彼女と同年代の男が映っている。右耳にピアスを開け、髪をアッシュに染めている。フリーターっぽいな?
「これが彼氏の川上武彦です」
「奇遇ですね?僕の名前も武彦ってゆーんですよ」
「それがどうかしたのですか?」
　感じの悪い依頼人だ。クビリオニに切り刻まれて死んでしまえ!イケナイ!昔から俺に恨まれた人間は不幸な結末を辿ることが多い。
　中学生のとき栄進ゼミナールって塾に通っていたが、堀田って講師が陰険な野郎で?スーパーファミコンのフロントミッションってロボゲーにハマって遅刻したら、「遅刻する奴は地獄に墜ちればいい。君の母親もどーしょうもないんだろう?僕のもとに連れてきなよ?調教してやるからさ?」
　いつか、血のついたキティちゃんを堀田の車で見たことがあったな?
　堀田をナイフで切り裂く妄想をしたら、冬休みに自動車事故で死んだ。通り魔に刺されて死んだら面白いなぁ?と思った。
　妄想と同じ方法で殺すのにはなにか、攻略法みたいなのがあるのかも知れない。