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ピントを合わせるのも一苦労なのよ。
でもすぐに知っている場所だってわかったわ。
爽やかな香りが閉じ込められた紫の穂や、小さくって可愛らしい薄桃の蕾。
まだ瑞々しいその花々の茎は麻紐で結わえてあって、天井の白い木枠から吊り下げられているの。
ええ、そうよ!
このお店だったのよ。
杏ちゃんたらいつの間に撮ってたのかしら。
ほら、今はもうドライフラワーに生まれ変わっているわ。
それからね、あのドアの横で咲いているハーブの寄せ植えのお写真もあったの。
咲いたばかりのジャーマンカモミールも綺麗に写してくれていたわ。
真ん中のふっくらしたまあるい黄色を囲む、白くて小さな花びら。
レモンバームとタイムのグリーンも素敵でしょう?
「この間の美味しかった、カモミールミルクティーも紹介したんだ」
「どぉれ?」
覗き込んで見たらね、『おばあちゃんのお店で飲んだ、ハチミツたっぷりの甘いカモミールミルクティー』ですって!
今のお写真って本当に綺麗よね。
ほんのり黄色を残したミルクティーは、あの日の杏ちゃんのとびっきりの笑顔まで思い出させてくれたわ。
嬉しくって目を細めて眺めていたら、ふと気づいたの。
お写真の下にね、何かあるじゃない?
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