76人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
どうしても絶えられない。
どんどん感覚が短くなっていった。
家に居れば何ともないのに、学校へ行くと喉が渇く。
登校してから昇降口で上履きに履き替え、真っ直ぐ中校舎へ向かい水を飲む。
HR中も水の事しか考えられない!
一時間目まで五分ほど時間があく。
ダッシュで中校舎へ行き、一滴も零さんばかりに蛇口から溢れる水を飲む。
味なんて分からない!
目も白黒しながら必死に水を飲む。
自分では異常に気付かなかった。
気付いたのは音楽教師であった。
休み時間に水を飲み過ぎ、移動教室に遅れたのだ。
音楽と美術だけは担任以外が担当しており、その特別教室があるのは中校舎であった。
音楽の授業が終わると、先生は何故遅れたのか聞いてきた。
先生は怒らなかった。
「水が飲みたくて」
事実を言うしかなかった。
今思えば、この教師は最初から私の姿を見かけていたのではないかと思う。
本来、こんな症状は中毒である。
しかし、場所が限定されている。
私自身の心因か何かではないかと思ったのではないだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!